2021 年末木造建築セミナー1/3

2021/11/25

まずは11月25日

JIAの「2050カーボンニュートラル連続セミナー」の第2期 第2回ということで
タイトルは「山と相談する建築のすすめ」

zoomでもたくさんの方が視聴して下さってました!

いわゆる省エネの推進とは違った角度で、木造建築がカーボンニュートラルに寄与する、しかもその影響はかなり大きい?ということはもうなんとなくみんなわかってて、(だからというわけじゃなくて昔から)既にいろいろ取り組んでいらっしゃる方もいれば、え、そうなん?あんまり興味なかったけど、木造って自分でもできるん?みたいな人も中にはいるはず。専門的すぎない、多角的な視点からの木質・木造建築セミナーをということで。

木造建築いうてもいろいろあります。

いわゆる普通に日本の戦後の住宅に使われてきた、土台、柱、梁でできた在来軸組構法(大地震のたびに法規がすすんで様変わりはしてますが)。海外からやってきた、柱と梁の代わりに枠組みと合板でできたパネルでつくるツーバイフォー。今でいうコンクリートの基礎がなくて(当たり前)、二千年近い長い年月をかけて培われた技術が今の基準では計算しづらくて使われにくくなってしまっている日本古来の伝統構法。

材料としては、丸太のまんま、丸太から切りだす様々なサイズの製材、一旦木片にしてから強度的にも合理的な配置で固め直した構造用集成材、薄板を並べて直行させながら何層にも張り合わせたCLTに、もっと薄くスライスした単板を構造材になるほどに厚く積層させたLVL・・・。

これらの材料と構法はいろいろ複合的に使われたり、鉄骨と一緒に考える混構造とかもいろいろあって、今の時代なんせ選択肢はいっぱい。

かつては、その土地の背後にある山から切り出す材木、その地域につたわる技術やデザインで「すーっと」できてくるものだったんだろなあ地域の木造建築。

2050年を目標とする抗地球温暖化的ないろんな取組みをベースにすると・・・。この先30年、我々建築家はどう木造建築に取り組んでいくのか。いつでもなんでも入手できる工業製品と違って(いや、コロナという自然災害で、いとも簡単に生産も流通も止まるということもわかったけど)、木材は、時期もサイズもその量も、そのときの山の状況を無視して考えることはできません。

2050年の日本の山はいったいどうなっているのかをイメージしながら、その山からでてくる木材を用いた建築に、どう取り組んでいくべきかをみんなで考える機会にしたいと考えました。

とてもシンプルに言いますと、

腰原先生は都市を木造・木質化することを標榜した活動と実践を続けられていて、比較的大きく構法、市場、各時代のそして今の先端という視点から。

網野先生は、木とともに、木造建築とともにある普通の暮らしから、そこに集まり生活する人々の幸せぶりという視点から。市場についてはシニカルに。

方向性はほぼ逆でも「そったく同時」感がすごかったです。あまり勝手なこと言うとまずいので、詳しくはいずれ公開されるyoutubeでご覧ください笑

そんな中、お二人が同じように言及されたのが、今まさにわれわれがその問題の真っ最中である「歪んでしまった林業」への警鐘です。

戦後復興で木が売れて、よーしずーっと売れるぞーと植林が盛んだった時期の例えば杉が、徳島ではどんどん80年生に、戦前のものは100年生に。たくさん植えたものの、自由化された外材にも押されて売れなくなって、手をこまねている間に長い時間がたってしまい、単価は昔と大して変わらなくて、売れても次の植林の費用が出ない。

お二人がそれぞれに見せて下さったグラフを見ると歴然でしたが、このところ日本国中ほとんど植林されていません。山にはたくさん木があるように見えて、使いすぎると極端にいうと若木しかなくなってはげ山になってしまう。伐った分次の木が育っているという、伐採と造林のバランスがよくなる時期が来るまで、どうしたらいいのかをみんなで考える必要がありますよ、このグラフを頭に入れておいて下さいねと。

そんな大径木を放っておくと、大きく重くなりすぎて、伐り出すことも困難になる。自分で倒れてしまうとまわりの木が傷んでしまう。自重で山の保水力が下がるこれはどこかで聞いた話)、例えば大径木が台風でどーっと川に倒れこんだらどうなる?手が付けられなくなる寸前です。

人為的に作ったものはちゃんと消費しないとバランスが崩れるという単純な話でもありますが、原子力みたいに、本当に手の付け方がわからないものではないので、なんとかせねば。やっぱりここが我々の背負うべき一番の大命題やなーと思ったなあ。みんなが自分の得意分野で、それぞれにこのこと考えながら頑張らななと。

腰原先生:その地域でできることをまず考えること。土地の林業者と話すこと。網野先生:人口の少ない村や街でこそ、幸せを自分たちで考えてつくりだせる。

11月28日の2/3につづく。


コメント

宜しければコメントを残してください

入力エリアすべてが必須項目です。メールアドレスが公開されることはありません。

内容をご確認の上、送信してください。