こないだのフルムーンダイニング

2019/09/22

せっかくうちんくで、移住や佐那河内に興味津々の方々をお招きしての会やし。

この家に至った経緯やらなんやらしゃべった。

酔っ払う前のつもりが、少し手遅れだったみたいで話が飛びまくって     

ちゃんと言えなんだけんまとめてみよ。

数年前、佐那河内の移住交流の施策のひとつ、民家改修のしくみづくりに

携わらせていただいて。

村での会議、勉強会やら宴会のあと外に出て星を見上げて感じるなんともいえな

い心地よさ。を何回も経験するうちに、このまま村で寝れたらなあ、

住みたいなあ思いはじめて。

「この家、何に使える?」的な、関係者たちによる村内の民家めぐりで、

今のうちんくつまり「さななや」にでおたんよな。

先行グループで見た友人が「これは内野さんの家やな」いうたと聞いて    

期待して行ってみてほんま期待通りで。

近所に、かつて設計させていただいた「空のいえ」「嵯峨の家」もある、  

さななやの川向いの「天一っつぁん」がわいを呼んだとしか思えんご縁。 

展覧会で出会ったオランダ人と高知人のご夫婦の家          

LANDHUIS in Sakawaが竣工して10年余。

「終の棲家」にふさわしい場所を捜して四国中を巡って、ついに探し当てた  

高知県佐川町の土地は、そこらじゅうに大きな転石が埋まった山裾の棚田。

「我々は、この自然の中に、後から来たものとして住まわせていただくんよ。 

そんな家にしてよ。」と、何回も言われたなあ。はじめは国際FAX、途中から

は高知に通って打合せを重ねた。

形のいい巨石を起こして家の真ん中に据えて、その廻りに          

周囲の棚田や山並みを建築化したんよな。

なんとなく彼らの気持がわかったつもりになって一緒に色々話し合って考えた 

けど、そこで鍛錬した思考を以降の設計に敷衍できたかというとそうでもない 

のがわいの浅いところやな。(「敷衍」の使い方もちょい不安)

で、「さななや」。

家に着いて車のドア開けると「さなな川」(嵯峨川やけど)の流れる音。   

寝てても聞こえとるし、翌日家を出るまでずっと川の音の中での生活。

『私田舎がいやで都会に出たけど、大人になってたまに帰省するたびに明らかに

元気になってな。「あれ?あたし清まんりょる?」て、気づいたんよ。』   

(今では佐那河内の魅力を都会の人に伝える伝道師である友人談)

そう、わいやも、日々清まんりょる。                   

やっと佐川のご夫婦が言よったことを実感しよる。             

あの家の心地よさが、遠くにいても沁みてくる。

佐那河内村の、自然の中に、集落のみなさんに温かく迎えてもらいながら   

豊かに暮らす。住むって、ものや人と関わるうれしさでもあるな。

村の風景は村の暮らしでできてます。                   

母屋があって離れがあって、家の周りにも農の暮らしの要素が染み出してて。 

村の景色を守る、というよりも村での暮らしを守らなな。          

ご近所のみなさんとの「とも暮らし」ごと。

早朝に起きて、まだ暗いなか、土間の居間で外に向って気持ちよく仕事や用事 

ながら夜明けを味わう。朝飯は雨の日でも必ず軒下に出て、うちんくの畑で取れ

た野菜を中心に頂く。夕方はできるだけ日暮れ前に帰って、景色の色彩が次第に

薄くなっていくのを愛でながら過ごす。まきストーブでなんやかや焼きながら飲

む。庭の草花、樹に果実、あとからあとから咲くわ生るわ。はよ家に帰ろなんて

思ったのは初めてじゃ。

この幸せな暮らし、これからの建築づくりにどう生かしたらええんだろ。   

田舎でならすっと自然にできそうに思う。周辺の人やものに敬意をはらいつつ。

けど、だれでもが田舎に住めるわけじゃない。田舎好きばかりじゃないし。  

街中の密集地の家に、遠くにある自然を呼び寄せることができるかな。    

どやったらできるかな。観念じゃなくて実際に感じることができるかな。

思い当たる家がいくつかあるな。たくさんは無いな。            

そうかあの人は若くしてこれに気づいたけんああいう設計を発明したんやな。

わが師匠はもうひとつ大きく、宇宙を感じられる建築をつくる。       

その師匠の師匠の建築にひかれて(いい漢字が無い)建築始めたのが     

いまさらながら自分で腑に落ちる。

すごー。建築ってすごい。人生そのものじゃな。

来し方行く末を考えさせる佐那河内ってすごいな。             

村の名前ができてもうすぐ千年じょ。                   

建築と佐那人、がんばります。

お月様とさななや。

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